鈴木大介の「最貧困女子」という本を読んだ。




「最貧困女子」では、三つの無縁(家族の無縁、制度の無縁、地域の無縁)と、三つの障害(精神障害、知的障害、発達障害)が、女性を貧困に陥らせる原因と考察しているのだが、スカウトマンの目線から見ても、その見解は正鵠を得ていると思う。


我々は、このような最貧困の女性と触れる機会は、実は少ない。知り合ったとしても、彼女たちに合うお店がほとんど無い上に、紹介先でトラブルを起こす確率が高いために、分かった時点で避けることがほとんどである。


本書でも触れているが、このような女性の特徴として、怒りっぽかったり、受け答えがまともにできなくて会話がままならず、デリヘルなどのサービスをきちんとこなすことも出来なくて、客からも店からも敬遠されやすい。


「彼女らは本当に、救いようがないほどに、面倒くさくて可愛らしくないのだ」


本書のこの言葉に彼女たちの特徴が全て集約されているといえよう。店もスカウトもビジネスでやっている以上、そのような女性とは縁を切る他ない。


また、彼女たちと親しくなった、普通に働くことができる風俗嬢たちにしても、あまりの素行の悪さや捻れた性格を前にして、まともな女性は彼女たちとの友達の縁を切ってしまう。


つまり、三つの無縁は三つの障害を呼び水として、「ワークスペース、ワーク環境の無縁」や、「友人の無縁」をさらに引き起こすのだ。


スカウトマンである私が実際に遭遇したケースを例として紹介しよう。


◼︎東北に紹介したAさんの場合

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もともと面識があり、店舗の紹介をしたことがある女性から、友人として、Aさんを紹介された。


彼女は、連絡を取り合っている段階で障害があることが分かった。


メールの内容に相違した返事を返す、送ってくる画像が求めているものと違う、言葉数が異常に少ない、読めない漢字が多く、単語の理解もあまり出来ていないなど、数多くの特徴を持っていたからだ。


今回は難しいと、紹介者の女性に固辞したのだが、どうしても二人で行きたいという強い要望があり、また紹介者の女性の協力があって、なんとか出稼ぎの段取りを組むことができた。


しかし、案の定トラブルは避けられなかった。


現地に到着して、働き始めてから二日目、店から連絡があった。


曰く、「お客様から、Aさんは異臭がすると言われた。ドライバーも、車内が臭いと言っている。たぶん、服も着替えている様子が無いし、髪も異常にボサボサで、お風呂に入っていないんじゃないか」


報告を受けて、紹介者の女性に相談すると、確かに寝間着も持たず、着の身着のままで生活をしているという。


このままでは強制帰宅となってしまうために、すぐに洋服を買うことと、お風呂に入ることを提案し、紹介者の女性がAさんになんとか話してみる、と約束してくれた。


実は現地に到着してから、Aさんからはメールの返信も無くて電話にも出ないため、すでに私とAさんの繋がりが切れていた。


紹介者の女性が介在していることでなんとか取り持っていたが、Aさんがこの先働いくのは難しいだろうと、私はこの時点で予測していた。


追い打ちをかけるように、翌日、店から再度連絡があり、「やはり髪を洗っていないし、同じ服を着ている。また車内で小便を漏らした」と報告を受けた。


すぐに紹介者の女性に確認すると、Aさん曰く、「髪を洗うのが極端に嫌いで、常に一週間に一度のペースだからそれを乱したくない。洋服は買うお金も時間もない」とのこと。


こうして、三日目でAさんは帰宅を余儀されたのだが、帰る電車賃がなくて、紹介者の女性にお金を借りたのだという。


その後、紹介者の女性も、Aさんと連絡がとれなくなった。


「せっかく働けるようにスカウトを紹介して、一緒に働いて面倒を見ていたのに、裏切られた。二度と関わりたくない」


店からも、少し怒った様子でこう言われた。「ああいう子は、二度と採用したくない。スカウトさんの方で見定めてから、おかしな子は避けて紹介して欲しい」


◼︎居場所を徐々に奪われる最貧困女子


上記の例をみて、このような女性と関わりを持とうと考える人間は稀であろう。


風俗店舗で働く場所を失った彼女たちが行き着く先が、立ちんぼや援助交際、援デリなどの本番サービスである。


しかし、本番系のお店に対しては、警察当局の取り締まりは年々厳しさを帯びて、その包囲網がじりじりと狭まっているのが現状である。


そうした中で、ある一つの事件が2014年に起こった。


大久保の風俗嬢3人が鉄パイプ・熱いアイロンで女性を暴行死
http://bakusai.com/thr_res/acode=8/ctgid=137/bid=1098/tid=3282358/


加害者の一人を私は直接知っているのだが、まさに上記の彼女たちの成れの果てのような凄惨で残酷な事件である。


加害者も被害者も、同じような最貧困女子であり、事件の根は想像以上に深い。


次回以降、より彼女たちの実態に迫ると同時に、同じ風俗嬢のピラミッドの頂点にいる女性たちと比較しながら、さらに現代の風俗嬢について考察していきたいと思う。

Twitter→@dekaseginavisk