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その日、私のもとに掛かってきた電話主の女性の声は、相当に切羽詰まっていた。

「二ヶ月分溜まってるカードの支払いがヤバい…」

二ヶ月ほど前に知り合った、花蓮は、二十四歳の都内で働く風俗嬢だった。本名は知らず、どこのお店で働いているのかも知らない。

まとまったお金が欲しいときに連絡して下さい。知り合ったときに花蓮にはそう伝えていたが、その後はLINEで彼女の日常の報告や相談を時折受けるのみで、私の方からも出稼ぎの話をする事はなかった。

「いくらぐらい滞納してるの?」

私の問いかけに「五十万!」と間髪入れずに彼女が答えた。

「このままだと、ブラックリストに載るのかな? あと十日もないし、今のうちの店のペースだとヤバイよ」

「はっきりとした状況が分からないから何とも言えないけど、十日間あるなら、五十万は難しくないんじゃないかな?」

言いながら、私は頭の中で計算をしていた。日数に余裕をみて八日間でも、一日65000円平均で稼げれば、目標額に届く。

「前にも話してたけど、ほんとに出稼ぎって稼げるの? 最後に保証もらえなかったりしないよね?」

不安がる花蓮の気持ちは痛いほどに分かった。出稼ぎ風俗を経験していない女性にとって、見知らぬ土地に行き、見知らぬ従業員のもとで働くことに対する恐れは、至極当たり前のものだ。


実際、私が女性だったとして、同じような立場に置かれたとき、真っ先に疑問に思うだろう。


果たして、出稼ぎは本当に稼げるのか?信用していいのだろうか、と。


私たちスカウトマンの使命は、彼女たちの不安をゼロに近づけて、良いお店を探して交渉し、サポートを行うことである。


「稼げるお店を紹介するし、条件も交渉するよ。保証がもらえないなんてことも、絶対にないから、安心して任せてくれないか」


今の時点ではこうした言葉だけが頼りだが、実際にお店に交渉して条件を提示し、確定した上、詳細を送り、店舗の人間と直接電話で話してもらうことで、女性の不安は少しづつ解けていく。


実際に現地に到着して、働く。そうして稼ぎながら最終日を迎えた後に、不安がようやくゼロになるのだ。もちろん必ず保証はもらえるのだが、保証が割れている段階では、どんな女性にも常に不安が付きまとう。そうした不安や、店に対する不満を解消しつつ、最後まで徹底して付き合うのが、スカウトの仕事である。


電話で一通りの説明を終えると、花蓮はプロフィールのデータを送ることに快諾してくれた。お店側に写メ面接をお願いする際に送る、女性のプロフィールデータのフォーマットを、彼女自身に埋めてもらう必要があった。それ以外にも、顔と全身の写メが必要となる。


三十分後、LINEで彼女のデータが送られてきた。写メの写りが実際の花蓮に比べて劣る気がしたので、他にも数枚送ってもらうようにLINEで伝える。


体重が四十五キロとスタイルが細いことと、ルックスの良さもあり、花蓮は七万保証で交渉が出来そうだった。


現地には前日入りをしてもらって、撮影や準備を整えて、翌日から十二時間待機で保証を付けてもらう。それを考えると、実質の勤務日数は八日間が限界だった。


一日七万保証の八日間で、合計五十六万円。そこから雑費や寮費がひかれるが、手元には五十万円は確実に残る。


私は東北や宇都宮、北陸地方や愛知のお店などで、花蓮の条件に見合うお店に電話をかけて、プロフィールデータを送り、交渉を始めた。


女性が出稼ぎを決める条件の指標の一つに、六十分の給料の単価の額がある。地方ということもあり、単価の設定は店によって大きく変動し、格安店であれば六十分単価が四千円程度になる。


花蓮の場合は高額保証ということもあり、高級デリヘルであることが前提となるため、六十分の単価も一万円を超えてくる。


花蓮から新しい顔の写メも受け取って、幾つかのお店に交渉したところ、富山県のデリヘルで七万保証、六十分単価13000円という条件を出してもらえた。それ以外は六万保証、単価12000円、七万保証だが単価は一万円などであったため、富山のお店が文句なしに条件が良かった。


花蓮に条件や詳細を送ると、私は事務所の椅子に寄り掛かり、天井を見上げた。二年ほど前に入居した新宿のビルの一角にある二十平米ほどの広さの事務所は、テーブルとパソコンと椅子以外に何も無い。


電話やメール、パソコンをいじるだけで、他にすることのない環境は、スカウトの仕事をするにあたって、最適だった。


それまでは喫茶店で日々の業務をこなしていたが、事務所を借りることで仕事をやらざるを得ない状況に自分を追い込み、それが成果に繋がった。


パソコンのメール画面を開く。出稼ぎの問い合わせのメールが一件届いていた。返信の文章を打ち込んでいるときに、花蓮からのLINEのメッセージが届く。


(このお店、保証とか単価は悪くないけど、雑費が10%ひかれた上で寮費はキツイ。もうちょっと安いところはないの?)


すぐさま返信を打つ。


(それなら、栃木のお店は雑費や寮費を含めて五千円で済むから、条件は少し下がるけどそちらはどうかな? 保証は65000円で、単価は12000円だよ!)


(そこがいい)

(単価千円上げれない?)

(単価あがったらそこにする)


LINEのやりとりのため、花蓮から一文づつに分かれてメッセージが届いた。


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宇都宮のお店に電話をして交渉をする。

「単価はあげられないですね。ただ、手取りの保証で65000円出しますよ」


手取りの保証が65000円であれば、通常のお店で七万保証の条件と変わりはなくなる。七万保証でも、そこから雑費や寮費がひかれれば、65000円を下回る可能性があるため、花蓮は手取り保証の店を気に入るだろう。


単価は上がらなかったが、保証は手取り保証になった旨を伝えて、花蓮は納得してお店を宇都宮に決めた。


その日は花蓮との連絡を終えて、パソコン業務に精を出した。出稼ぎの案件が一つ決まったとはいえ、当日までは何が起きるか分からないし、到着してからもまだまだ仕事は続く。


ーーー


そうして迎えた出稼ぎの前日入りの日に、彼女から電話があった。


「到着して事務所で説明受けて、ようやく今、部屋に入ったんだけど、お腹空いた。どうしたらいいの?」

「了解。どこかご飯屋まで連れていってもらえないか、聞いてみるね」

店長に電話をすると、三十分後にはドライバーが動けるらしく、近所の定食屋かファミリーレストランに送っていってもらえるそうだ。


数時間後、花蓮からはLINEで


(客層いいし、いまのところ仕事が続いてるから稼げそう。都内にいるより全然楽かも!)

とのメッセージが入る。順調だった。そのときまでは。


ーーー

それから三日後のことだった。深夜過ぎに、花蓮から着信が入った。


「なんか体調悪くて、仕事がきついかも・・・」

「大丈夫? 風邪とかかな?」

「わからない。明日仕事きつい。どうしよう」


出稼ぎ期間中、女性が生理になってしまったり、体調を崩してしまうケースが稀にある。そんなときは無理強いするわけにはいかないし、ほとんどのお店が理解を示してくれるため、「そうしたら、とりあえず明日は休もうか。いま、店長に電話してみるね」と花蓮に心配させぬように言葉を掛けて、店長に電話を掛けた。


時刻は深夜一時を過ぎていたが、営業中であるため、店長はすぐに電話に出た。


「夜分遅くにすいません、花蓮さんが体調を崩してしまったらしく、申し訳ないのですが明日は一日休みを頂けますか?」


すぐに承諾を得て、花蓮に連絡をする。一日分の稼ぎが減ってしまうのは今の花蓮にとって痛手だったが、体調が悪い状態ではデリヘルの仕事をこなすのは難しい。


翌日、休みをもらって養生につとめていた花蓮だったが、夜になっても体調が回復する気配はなく、結局二日間の休みをとることになった。

最初の三日間で二十三万稼いでいた花蓮は、残りの三日間で二十七万稼がなくてはいけない。

二日間の休みをとって、仕事を再開した花蓮は、今まで以上に接客やサービスを心掛けて、働いているようだった。待機時間も通常は十二時間のところを、少しでもお客さんが付くようにと、二時間延ばして、目標の金額に届くように身をつくした。


しかし、最終日の清算で判明した稼ぎの合計は、五十万円に二万円満たない、四十八万円だったーー。


ーーー

「どうしよう、明日の三時までに五十万必要なのに、足りないよう」

深夜三時すぎ、最終日の清算を終えた花蓮からの電話に、私は頭を悩ましていた。どうすれば、残りの二万円を作れるだろう。

「花蓮ちゃんは体調的にはもう大丈夫なの?」

「体調は平気だけど精神的にヤバイ。本当にどうしよう、どうしよう・・・」

私はそこで苦肉の策を思いついた。

「今日はお店の営業が終わったからどうしようもないけど、明日の昼十二時から受付をしてもらって、一本だけ仕事にいく。もしかしたら、ぎりぎり二万円くらい稼げるかもしれない」


花蓮の体調も万全だったので、予定外ではあるが、帳尻を合わせるためにはもうこれしか手段はなかった。花蓮の了解を得て、店長に掛け合う。十二時から受付を開始して、三時までの振り込みに間に合うように仕事を受けさせてもらう。


店長も快く承諾してくれた。あとは明日の十二時に、なんとか一本だけでもお客さんが付くことを祈るだけだ。


迎えた翌日、十二時から九十分の仕事の予約がついた。電話番の内勤のスタッフが、六十分のお客さんをお店の割引を使って九十分にしてくれたらしい。これで、花蓮の手元に17000円が入る。

「でも三千円だけ足りないよ」

「俺が貸すよ。口座教えてくれたら、そこに振り込む」

今日の仕事の状況次第で、お金を貸すことが選択肢にあった。あまりにも大きい金額だと難しいが、三千円くらいのお金であれば、私が出稼ぎを勧めた以上、花蓮の助けになりたかった。


こうして無事に、花蓮は五十万円のお金を稼ぐことが出来た。今でもたまに、彼女は宇都宮のお店に出稼ぎに行っている。



※この物語は、事実を基にしたフィクションです。


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